●美少女フィギュアの原型師でコスプレーヤーでもある美環さん。
●大型二輪免許を所持し、どこに行くにも移動はバイクがイチバン!
●「年代を超えて友達になれるのがバイクの魅力」と、力説している。
まるでマンガかアニメから飛び出してきたようなルックスの“美環さん”。趣味と実益を兼ねたコスプレーヤーとして活動しており、本職は美少女フィギュアをつくる「原型師」。大型二輪免許を持っており、バイクで走ることが大好きだそう。キャラクターの可愛らしさとバイクへの一生懸命さが好感となり、二輪専門誌などでも人気が急上昇。バイク界に「美少女系ライダー」のジャンルを拓く、注目の逸材だ。
マンガの主人公に影響されてバイクに乗る
2019年7月某日、秋葉原。「雨が上がったので、バイクで来ましたっ!」と、明るい笑顔で登場した美環さん。ライダースジャケットを脱ぐと、Tシャツにはプラモデルのタミヤのロゴがドーン。こんなところにもサブカル愛が溢れている。
【本誌】 初めまして。さっそくですが、バイクに乗り始めたきっかけを教えてください。
【美環】 はい。私は幼いころからマンガやアニメが大好きで、好きなこともやりたいことも、その世界からの影響が大きいんです。バイクに関心を持ったのは仮面ライダーに憧れたからで、実際に乗る気になったのはマンガの『ばくおん!!』を読んで、主人公の女子高生たちと同じように私もバイクに乗りたい!って思ったからなんです。
注:『ばくおん!!」は、おりもとみまなのマンガ作品。バイクに乗る女子高校生たちの日常を通じて、バイクにからむさまざまなエピソードや登場人物の葛藤を描く学園コメディ。月刊ヤングチャンピオン烈コミックス(秋田書店)で連載中。
【本誌】 最近はバイク専門誌やネット動画で、試乗レポートなどの仕事もなさってるんですね?
【美環】 いろいろなバイクに乗る機会が増えたので、だんだんその違いがわかるようになってきました。このバイクはパワーがあるのに下も出てて乗りやすい!*注とか、ハンドリングがすっごいキレるとか、自分なりのインプレッションをお伝えするのがすごく楽しいです。
【本誌】 けっこうバイクに詳しい感じですね。
【美環】 いやいや(笑)。私メカ好きなんで、機械の話は抵抗ないし、やれるメンテナンスは自分でします。身長が150cmなのでシート高を低くするカスタムをしたり、手も小さいから握りやすいクラッチに交換したり、小柄な女性ライダーの参考になれば嬉しいです。
【美環】 なるほど、女性の多くはバイクに“足つきの不安”があったりするから、美環さんの体験レポートは貴重な情報源になるわけだ。
*注:エンジンの高回転域にパワーがありながら、低回転域にもトルクがあり、低速でも安定感があって楽という意味。
ガチでバイク三昧の日々を送っているようです
【本誌】 仕事以外では、普段どんなふうにバイクを使っているんですか?
【美環】 週に2~3日は必ず乗ってます。近場では125㏄スクーターを足にしていて、これがどこに行くにもとっても便利なんですよ。家から300mくらい先のコンビニにもスクーターでターッと行っちゃいます。ヤバいですよ、歩かなくて、本当にヤバい(笑)。
【本誌】 けっこうハードに使っているというわけですね。
【美環】 そうなんです。電車や人ごみが苦手なので、出かけるときは雨でもバイクで行きたくなります。「ぬれねずみだーっ、むしろテンション上がるー」みたいな。125㏄だから高速は走れないけど、千葉くらいまでならスクーターで行っちゃいますね。
【本誌】 今日は250㏄のスポーツバイクですね。
【美環】 これは私が買った初めてのバイクで、もうカワイくって。ポジションも自分に合わせてあって、ほかの人に「乗りづらいバイクだなあ」って言われると、この子(バイク)は、私のことしか乗せたくないんだなあ (o´艸`)ムフフ ってなります。それほどの愛車なんですよ。名古屋くらいまでなら平気で行っちゃいます。
バイクの魅力は年代を超えたコミュニケーション
【本誌】 250㏄で名古屋ですか!
【美環】 ツーリング大好きです! 釣りに行くときなんかバイク最高ですよ。
【本誌】 釣りをされるんですか?
【美環】 はい。私は主に渓流です。川虫とかのエサ釣りでヤマメを狙います。バイクなので持って行く竿は短いのですが、狭い川でも十分楽しめますよ。奥多摩だとか、日光のほうには穴場もあって、入れ食いだったりします。あれはたまらん♪ その場で焼いて食べるとウマイんです!
【本誌】 けっこう本格的に取り組んでいるんですね。
【美環】 『釣りキチ三平』の影響です。バイクだと山の細い道でも入っていけるので、釣りをやる人には便利なんです。ツーリングを楽しんで、釣りも楽しんで、バイクのおかげで、アウトドアの遊びを満喫しています。
【本誌】 いいですねぇ。美環さんにとって、バイクのいちばんの魅力は何ですか?
【美環】 そうですね、バイクに乗る人同士って、年齢に関係なく話が盛り上がるじゃないですか。ライダーだからこそ共感できるいろんなネタがあって、「それ、ある!」ってなる。たとえば初対面の方とも、「このバイク、こういうクセ出ていない?」「出てますっ」みたいに会話がどんどん弾むので、バイクってすごいなと思うんです。
【本誌】 なるほど、でも、それってバイク特有のことなんですかね。
【美環】 だって釣りが趣味の人と山でばったり会っても、目線すら合わせてくれませんよ。なるべく話しかけられないようにしているみたいです(笑)。静寂が大事ってこともありますが、仮に話しても釣り場のポイントなんてぜんぜん教えてくれないし!
平面キャラクターを立体化させる原型師の仕事
【本誌】 ところでフィギュアの原型師というのは、どういうお仕事なのですか?
【美環】 私は美少女フィギュアを中心に製作していて、マンガやアニメ、ゲームの登場人物を形にします。原作者が描いた原画を元に、パソコンの3Dソフトを使って立体化した造型を作り出すのが私の仕事なんです。頭部、胴体、腕、脚などの部位ごとに3Dプリンターで出力して、塗装して組み立てればフィギュアの完成です。
【本誌】 平面のものを立体にする作業なわけですね。よく考えたら、難しそう。
【美環】 たとえば『あしたのジョー』の主人公、矢吹ジョーの髪型ですが、原画は右分けにも左分けにも描かれています。どのように立体にすればマンガのイメージと同じ髪型になるか、つじつまを合わせなくてはならないんです。平面のものを立体化しよとすると破たんする部分も出てくるので、そこを調整する難しさはあります。って、ついマジレスしちゃいました!
【本誌】 いや、興味深いお話です。ジョーの髪型はフィギュアだとどっちを向いているのでしょうか、気になります。うかがってみると、原型師の仕事はバイクデザインの仕事にも通じるところがありそうですね。
【美環】 フィギュア製作は、ただ立体化するだけでなく、原作者の意図や原画の持ち味をいかに表現できるかが大事だと思っています。バイクのデザインも、図面では説明できないカッコよさをどう実現するか、きっとそこが大切なんだと思います。
【本誌】 このお話の続きは、BLF(下記の太字)でうかがえそうですね。最後に、これからどんなふうにバイクと関わっていきたいですか?
【美環】 目標は、MotoGPのマルク・マルケスみたいなカッコいいライダーになることですっ。どうぞよろしくお願いします (`・ω・´)キリッ。
■美環さんは、9月20日(金)に、経済産業省の主導するバイク会議「BIKE LOVE FORUM in やまなし」にパネリストとして登壇予定。同フォーラムをぜひご取材ください。
JAMA「Motorcycle Information」2019年8月号/Enjoy Bike Lifeより
本内容をPDFでもご確認いただけます。
PDF:サブカルが生んだ“美環さん”バイク界が注目する「美少女系ライダー」