●整備も自分でするほどバイクが大好きな紗喜花さん。
●通学に使っている原付バイクが超お気に入りの女子高生Kさん。
●ファッションモデルと女子高生による、ホンネのトークコラボ!
※この記事は2018年2月時点の内容です。
ファッションモデルとして人気上昇中の紗喜花さん(写真上)は、大のバイク好き。走るだけでなくメカにも興味があって、メンテナンスはもちろん、自分でカスタムもやりたいという好奇心旺盛なバイク乗りだ。
かたや、某工業高校に通う女子高生Kさん(写真下)は、授業で原付エンジンの分解・組み立てをこなすバイクLOVEな女の子。寒い冬に片道15kmの原付通学も、愛車と一緒なら「ぜんぜん平気」だそう。
今回は“トークコラボ!”と銘打って、この2人のバイク好き女子に、自由なおしゃべりを楽しんでもらった。果たしてどんな会話が飛び出すか。
バイクは他の人とかぶりたくない
紗喜花さんは、モデルとしてのルックスもさることながら、大型二輪免許をいわゆる一発試験で取得した強いハートの持ち主。自分の誕生年と同じ年式の400ccネイキッドスポーツをこよなく愛している。「今日はバイク好きの女子高生とお話できるので、ちょっとワクワクしてます」と楽しそう。愛車を走らせ、Kさんの自宅を訪ねた。
Kさんが、いつもの通学スタイルで原付スクーターを車庫から出してきてくれた。あいさつもそこそこに、さっそく2人のおしゃべりが始まった。
「かわいい!このスクーター。これ自分で塗ったの? このリボンとか、このステッカーは自作?」と、次々質問を浴びせる紗喜花さん。
Kさん「そうですね。塗装は自分でやりました。カラフルなシールはガチャガチャで集めたやつで、このへんのはカッティングシートで自作したり。リボンの飾りはお父さんが型から起こしてパテで作ってくれたもので、とても気に入ってます!」
紗喜花「へー、かわいい。塗装は市販のスプレー塗料なの?」
Kさん「100均のカラースプレーなんですよ。それでもけっこうできちゃう」
紗喜花「スゴイ! お金をかけずに工夫してやれるんだね」
ほかにも、リアキャリアの隅には小さな人形のマスコットが接着剤でつけてあったりする。
Kさん「このマスコットはスミスキー*注1っていって、普通に好きなんで、集めてます」
紗喜花「こういう発想がJKだよね。バイクとそれ以外の好きなものをうまく混合するセンス。男子にはあんまりない」
Kさん「スミスキー、夜になるとぼーっと光るんですよ。こういうのはだいたいヴィレバン*注2で見つけます」
紗喜花「私もヴィレヴァン大好き。おかしな小物が多いんだよね(笑)」
Kさん「バイクって、他の人と絶対かぶりたくないじゃないですか。それでこんなふうになりました。やりすぎると先生に叱られるけど、ギリギリまでやっちゃう(笑)」
*注1:スミスキーは、若者に人気の“謎の妖精”。合成樹脂でできており、部屋の隅などに置いて楽しむフィギュア。
*注2:ヴィレヴァンは、チェーン展開している書籍・雑貨店「ヴィレッジヴァンガード」の略。サブカルチャー好きの若者に人気。
原付通学が“埴輪スタイル”になる理由
Kさんの学校は、16歳になれば原付免許を取得でき、希望者には原付通学も認められている(自動二輪免許の取得は不可)。
「この辺りは通学が不便で、バスや鉄道だと月に3万円くらいかかるんです。バイクだと通学時間が半分以下で済むし、お金もあまりかからないから本当に便利です」とKさん。
もっとも、Kさんほどバイクに愛情を注ぐ生徒は少ないそうで、移動手段として割り切っている生徒が多いとか。
そして2人のおしゃべりは、ライダーのファッションへ。
紗喜花「バイクに乗るときは、ライディング用のウエアがより安全でおススメ。そこはお金をかけてでも、しっかりした装備を選んだ方がいいよ。グローブも革製のものがいいと思う」
Kさん「そうなんですね。バイク通学では肌を出しちゃいけないから、私はいつもバイク用のレインパンツを履いてます。埴輪*注3はダサイからホントはしたくないんだけど、もう慣れちゃって、これでどこでも行っちゃう(笑)」
紗喜花「靴もおしゃれでダウンジャケットと合ってるよ。パンツもジャージじゃなくてバイク用ってわかるからカッコイイ。私が高校のときは学校指定のローファー(革靴)がすごい“イモ感”出しててイヤだった」
Kさん「まあ、スカートは履かなくてもいいんですけどね。風を巻き込んでむしろ寒いし。でも、授業は制服じゃないとダメなので、着替えが面倒。埴輪で行けば、学校に着いたらズボンをサッと脱げばいいだけなので、便利なんです」
注3:埴輪とは、バイクや自転車での通学時に、制服のスカートの下にズボンを履いた状態をいう。古代の埴輪のように見えることからそう呼ばれる。
メカが苦手でもバイクは楽しめる!
2人ともバイクの話が止まらない。シートの貼り換えや、クラッチの調整、エアクリーナーの交換、さらには溶接の方法についてなど、ほっておくとどんどん深みにハマっていく。
Kさんが、「紗喜花さんはバイクの整備に関心をもつようになったのはなぜですか?」と尋ねた。
「走っている先で、何か困ったときに自分で対処できなきゃダメだと思ったからかな。まだ一人では整備できないけど、たとえばどの部品がどんな役割をしているか知っておけば、お店に修理を頼むにしてもちゃんと伝えられる。それって大事だと思ってるの」と話す。
一般的に、女性がバイクに苦手意識を持つのは“メカへの抵抗感”も一因だが、そうした傾向について2人はどう思うか。
Kさんは、「バイクの整備は女性にもできます。やろうとしない人が多いだけで、始めてみるととても楽しいです」という。
すると紗喜花さんは、「私もKさんもメカが好きだからね。自分で整備とまでいかなくても、チェーンの弛みとかブレーキパッドの減り具合とか、基本的な点検ができればいいと思う。新しいバイクなら日常点検は自分でやって、定期的なメンテナンスはショップに任せれば大丈夫。ウチの母もバイクに乗るんだけど、メカが嫌いだから毎回ぜったい新車を買います。そういうスタンスもありだと思う」と話し、機械の扱いが苦手でもバイクは楽しめると強調していた。
「ヤエー!」で広がるライダーの仲間意識
Kさんは、この春、高校を卒業する。自動車関連企業で、実際にモノづくりをする仕事に就きたいという。
「卒業したら、とにかく二輪免許を取得したいですね。大きなバイクのことはまだよくわからないけれど、私みたいな原チャリにも、すれ違うときにヤエー*注4してくれるバイクの人が多いんです。バイクには、知らない人とでもつながれる魅力があるんですね」とKさん。
それにしても「ヤエー」とはいったい何? 紗喜花さんが説明してくれた。
「ライダー同士がすれ違いざまに、イェー!(Yeah!)って手を挙げてあいさつするじゃないですか。あれをいま、ヤエー!っていうんですよ。なぜかは知らないけど」とのこと。昔からライダー同士が道中の無事を祈り合い、ピースサインを交わす習慣があるが、どうやらそのことのよう。
トークを終えて、紗喜花さんも今回は先輩ライダーとして、年下のバイク好きな女子との話がことのほか楽しかった様子。
「バイクに関心をもってる女子高生がいるだけで私は嬉しいけど、Kさんみたいに、実際に整備もできる女の子にとても刺激をもらいました」とのこと。
2人とも安全で楽しいバイクライフを送ってほしい。というわけで、ヤエー!
注4:ヤエー!は、インターネットの巨大掲示板に書き込まれたYeah!(イェー!)のスペルミスYaeh!(ヤエー)のこと。その間違いがノリとして面白がられ、ライダーの間に広まったとみられる。
※高校生のKさんは、インタビューの後、紗喜花さんの事務所に所属することになり、現在、
日向メイリ(ひなためいり)として、デビューに向けて勉強中です。
JAMA「Motorcycle Information」2018年1-2月号Enjoy Bike Lifeより
本内容をPDFでもご確認いただけます。
PDF:ファッションモデル&女子高生 自分だけの“お気に入りバイク”大好き!